古代オリエントとアイルランド

オーディンと兄弟たちは、宇宙を作り出すためにユミルの体を使った。彼の体を挽いて土壌とした。彼の肉に現れた蛆が、地下に住む小人となった。ユミルの骨が山となった。オーディンは雲を作り出すために彼の脳を空にまき散らした。宇宙は9つの世界から成り立っている。その中でもこの大地(マンハイム)が中心にあった。オーディンらはユミルの頭蓋を持ち上げる4人の小人、ノルズリ(北)、スズリ(南)、アウストリ(東)とヴェストリ(西)を置き、天を構築した。それからムスペルヘイムから飛来する火の粉を使って、太陽と月、星を作り出した。オーディンと他の2人(『古エッダ』はヘーニルとローズルだと語る。彼らはヴィリとヴェーの言い換えと考えられている)が浜辺に沿って歩いていた時、流木の2切れ(それぞれをトネリコとニレとする話もある)を見つけた。これらから「最初の」人間(最初の2組の人間はユミルの血の洪水で溺死した)、アスクとエムブラを作り出した。ユミルの眉毛が、人間たちがその中で暮らせる場所を作り出すのに使われた。その場所はミズガルズと呼ばれた。[2]神々は、季節と同じように昼と夜の運行を管理した。ソールは太陽の女神で、ムンディルファリと妻グレンの娘であった。毎日彼女は、アルスヴィズとアールヴァクという名の2頭の馬に引かれる馬車に乗って空を通過する。この通過は、「妖精の栄光」を意味するアールヴレズルという名で知られている。それは太陽を指す一般的なケニングであった。ソールは、彼女を飲み込みたがっている狼スコルによって一日中追われている。日食は、スコルが彼女にほぼ追いついたことを示している。(世界の終わる時、スコルが最終的にソールを捕えて食べることは、運命づけられている。しかし、彼女の娘が彼女に取って代わる。)ソールの兄弟、月の神マーニもまた、もう1頭の狼ハティに追われている。大地とソールとの間に小人スヴェルが立っていて、彼によって大地は太陽の膨大な熱から守られている。アールヴァクとアルスヴィズの燃え上がる鬣が、大地へ光を投げかけている。

ギリシア神話に登場する多くの人間は、ヘーシオドスがうたった第4の時代、つまり「英雄・半神」の時代に属している。それらは、すでにホメーロスが遠い昔の伝承、栄えある祖先たちの勲の物語としてうたっていたものである。彼らの時代がいつ頃のことなのか、神話上での時代の相関が一つにある。他方、考古学資料によるギリシア神話の英雄譚が淵源すると考えられる古代の都市遺跡や文化、戦争の痕跡などから推定される時代がある。英雄たちの時代の始まりとしては、プロメーテウスの神話の延長上にあるとも言える「大洪水」伝説を起点に取ることが一つに考えられる。プロメーテウスの息子デウカリオーンは、エピメーテウスとパンドーラーのあいだの娘ピュラーを妻にするが、大洪水は、このときに起こったとされる[78]。洪水を生き延びたデウカリオーンは、多くの息子・娘の父親となる。ピュラーとのあいだに息子ヘレーンが生まれたが、彼は自分の名を取って、古代ギリシア人をヘレーン(複数形:ヘレーネス)と呼んだ[79]。デウカリオーンの息子・孫には、ドーロス、アイオロス、アカイオス、イオーンがいたとされ、それぞれが、ドーリス人、アイオリス人、アカイア人、イオーニア人の名祖となったとされるが[80]、これは歴史的な背景はないと思われる[81]。

"ローマ神話の体系化と発展を促進し、両者のあいだには対応関係が生み出された。またプラトーンを初めとして、古代ギリシアの哲学や思想、そしてヘレニズム時代の宗教や世界観に影響を与えた。キリスト教の台頭と共に神話の神々への信仰は希薄となり、やがて西欧文明においては、古代人の想像の産物ともされた。しかし、この神話は古代の哲学思想だけでなく、キリスト教神学の成立にも大きな影響を与えており、西欧の精神的な脊柱の一つであった。中世を通じて神話の生命は流れ続け、ルネサンス期、そして近世や近代の思想や芸術においても、この神話はインスピレーションの源泉であった[1] [2]。""今日、ギリシア神話として知られる神々と英雄たちの物語は、およそ紀元前15世紀頃に遡るその濫觴においては、口承形式でうたわれ伝えられてきた。紀元前9世紀または8世紀頃に属すると考えられるホメーロスの二大叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイア』は、この口承形式の神話の頂点に位置する傑作である。当時のヘレネス(古代ギリシア人は、自分たちをこう呼んだ)の世界には、神話としての基本的骨格を備えた物語の原型が存在していた[3] [4] [5]。"しかし人々は、この地上世界の至る処に神々や精霊が存在し、オリュンポスの雪なす山々や天の彼方に偉大な神格が存在することは知っていたが、それらの神々や精霊がいかなる名前を持ち、いかなる存在者なのかは知らなかった。どのような神が天に、そして大地や森に存在するかを教えたのは吟遊詩人たちであり、詩人は姿の見えない神々に関する知識を人間に解き明かす存在であった。神の霊が詩人の心に宿り、不死なる神々の世界の真実を伝えてくれるのであった[6]。この故に、ホメーロスにおいては、ムーサ女神への祈りの言葉が、朗誦の最初に置かれた[7]。

プロメーテウスに欺されたゼウスは報復の機会を狙った。ゼウスはオリュンポスの神々と相談し、一人の美貌の女性を作り出し、様々な贈り物で女性を飾り、パンドーラー(すべての贈り物の女)と名付けたこの女を、プロメーテウスの弟の思慮に欠けたエピメーテウスに送った。ゼウスからの贈り物には注意せよとかねてから忠告されていたエピメーテウスであるが、彼はパンドーラーの美しさに兄の忠告を忘れ、妻として迎える。ここで男性の種族は土から生まれた者として往古から存在したが、女性の種族は神々、ゼウスの策略で人間を誑かし、不幸にするために創造されたとする神話が語られていることになる。パンドーラーは結果的にエピメーテウスに、そして人間の種族に災いを齎し不幸を招来した。ヘーシオドスは更に、金の種族、銀の種族、銅の種族についてうたう。これらの種族は神々が創造した人間の族であった。金の種族はクロノスが王権を掌握していた時代に生まれたものである[65]。この最初の金の種族は神々にも似て無上の幸福があり、平和があり、長い寿命があった。しかし銀の種族、銅の種族と次々に神々が新しい種族を造ると、先にあった者に比べ、後から造られた者はすべて劣っており、銅(青銅)の時代の人間の種族には争いが絶えず、このためゼウスはこの種族を再度滅ぼした。金の時代と銀の時代は、おそらく空想の産物であるが、次に訪れる青銅の時代、そしてこれに続く英雄(半神)の時代と鉄の時代は、人間の技術的な進歩の過程を跡づける分類である。これは空想ではなく、歴史的な経験知識に基づく時代画期と考えられる。第4の「英雄・半神」の時代は、ヘーシオドスが『女傑伝(カタロゴイ)』で描き出した、神々に愛され英雄を生んだ女性たちが生きた時代と言える。英雄たちは、華々しい勲にあって生き、その死後はヘーラクレースがそうであるように神となって天上に昇ったり、楽園(エーリュシオンの野)に行き、憂いのない浄福の生活を送ったとされる(他方、オデュッセウスが冥府にあるアキレウスに逢ったとき、亡霊としてあるアキレウスは、武勲も所詮空しい、貧しく名もなくとも生きてあることが幸福だ、とも述懐している[66])。

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