バビロニア神話と起源をめぐる説
ヘーシオドスがうたう第二の自然哲学的な世界創造と諸々の神の誕生は、自然現象や人間における定めや矛盾・困難を擬人的に表現したものとも言える。このような形の神々の誕生の系譜は、例えば日本神話(『古事記』)にも見られ、世界の文化で広く認められる始原伝承である。『神統記』に従うと、次のような始原の神々が誕生したことになる。まず既に述べた通り、コーラーとしてのカオス(空隙)と、そのうちに存在する胸広きガイア(大地)、そして暗冥のタルタロスと最も美しい神エロースである。ガイアより更に、幽明のエレボスと暗きニュクス(夜)が生じた。ガイアはまた海の神ポントスを生み、ポントスから海の老人ネーレウスが生まれた。またポントスの息子タウマースより、イーリス(虹)、ハルピュイアイ、そして三人のゴルゴーン姉妹等が生まれた。一方、ニュクスよりはアイテール(高天の気)とヘーメラー(昼)が生じた。またニュクスはタナトス(死)、ヒュプノス(睡眠)、オネイロス(夢)、そして西方の黄金の林檎で著名なヘスペリデス(ヘスペリス=夕刻・黄昏の複数形)を生み出した。更に、モイライ(運命)、ネメシス(応報)、エリス(闘争・不和)なども生みだし、この最後のエリスからは、アーテー(破滅)を含む様々な忌まわしい神々が生まれたとされる[32]。
ウェールズの吟遊詩人の口承に基づく物語群。アーサー王の物語として日本でも広く知られている物語を含む。文字による記録は、現存する最古のものでも13世紀頃のもので、そのままを古代からの伝承と受け取る事はできないが、「魔力を持つ切り落とされた首」などの点で、アルスター伝説との共通性、更には大陸のケルト人が残した彫刻から推測される「首への強い執着」との関連性等が認められる。主な資料となっているのはマビノギオンであり、これは中世ウェールズ語の写本が原典となっている。シャーロット・ゲストが19世紀に初めての完訳を行った際にタイトルにしたものが定着したのであるが、この根拠となった写本に1カ所だけ存在する「マビノギオン」という言葉は写本の誤写によるものと現在は考えられている[4]。アリアンロッド(Arianrhod)、ケルトの主神ダヌ(ウェールズの地母神、ドンとも呼ばれる。)の娘。月の女神で銀の車輪という意味の名を持つ。時のシンボルでもあり出産にも関与する。ウェールズ人が崇拝した北かんむり座の守護神。ブリギッドと同一視されることもある。
プラトンは「ソクラテスの弁明」(22)で「大洪水のすべて」に言及し、「クリティアス」(111-112)では「デウカリオンの大破壊」に言及している。さらに、アテネとアトランティス以来「多くの大洪水は9000年の間に起こっている」とする論説は卓越している。古代スカンジナビアの神話では、ベルゲルミルはスルードゲルミルの息子である。彼と妻は、ベルゲルミルの祖父ユミルの血の洪水(オーディンと彼の兄弟のヴィリとヴェーによる虐殺)を生き残った、最後の霜の巨人である。彼らは中が空洞になった木の幹に潜り込み生き残って、新たな霜の巨人を生み出した。"神話学者の Brian Branston は、この神話と、アングロサクソンの叙事詩である『ベオウルフ』に述べられた事件との共通点に注目した。それらは伝統的に『聖書』の洪水と関連しており、したがって、アングロサクソンの伝統と同様、広くゲルマン民族の神話に一致する事件があったと思われる。"
神々は、季節と同じように昼と夜の運行を管理した。ソールは太陽の女神で、ムンディルファリと妻グレンの娘であった。毎日彼女は、アルスヴィズとアールヴァクという名の2頭の馬に引かれる馬車に乗って空を通過する。この通過は、「妖精の栄光」を意味するアールヴレズルという名で知られている。それは太陽を指す一般的なケニングであった。ソールは、彼女を飲み込みたがっている狼スコルによって一日中追われている。日食は、スコルが彼女にほぼ追いついたことを示している。(世界の終わる時、スコルが最終的にソールを捕えて食べることは、運命づけられている。しかし、彼女の娘が彼女に取って代わる。)ソールの兄弟、月の神マーニもまた、もう1頭の狼ハティに追われている。大地とソールとの間に小人スヴェルが立っていて、彼によって大地は太陽の膨大な熱から守られている。アールヴァクとアルスヴィズの燃え上がる鬣が、大地へ光を投げかけている。エジプト神話とはエジプト地域で信仰されていた神話のことであるが、地域や時代によって内容の異同が激しく、天地創造に関しても一様ではない。ヘリオポリスにおける信仰(ヘリオポリス神話)では、以下のような話が語られている。