インドと民話・昔話

クトゥルフ神話はこうしたアイテムによって定義されているとも言え、小説の素材として多くの作家に愛されてきた。ラヴクラフト以後の作家によって書かれた神話作品は、こうしたラヴクラフトの基本プロットを踏襲して、そこに新たに創作した遺物を付け加えるなどクトゥルフ神話の一部と呼ぶに相応しい本格的なものから、単に旧支配者の神名や召喚の聖句などが作中に出てくるだけのものまで、さまざまに共有・拡張され、膨大な神話体系ができあがっている。作家たちの想像力を尽くした、この世のものとも思えない異形の旧支配者たちは、怪奇ファンを楽しませている。また小説のみならず漫画やゲームの世界にも神話世界は拡張され続けている。日本でのクトゥルフ神話の始まりは、少なくとも1956年において、早川書房『幻想と怪奇2』に「ダンウィッチの怪」の収録が確認されている[8]。ラヴクラフトやクトゥルフ神話が広く知れ渡ったのは、1972年のSFマガジン9月臨時増刊号で、クトゥルフ神話が初めて特集されたこと[8]。翌1972年の幻想と怪奇第4号で「ラヴクラフト=CTHULFU神話」と題され特集された[8]ことから1970年代頃から注目されていると推定できる。

ソーシュールの構造の概念を継承してこれを神話研究に適用したのはレヴィ=ストロースであり、彼は例えばオイディプースの悲劇を、神話素のあいだの差異の構造と矛盾の体系として分析し、「神話的思考」(野生の思考)の存在を提唱した。神話の目的は、現実の矛盾を説明し解明するための構造的な論理モデルの提供にあるとした。オイディプースの神話の背後には様々な矛盾対立項があり、例えば、人は男女の結婚によって生じるという認識の一方で、人は土から生まれたという古代ギリシアの伝承の真理について、この矛盾を解決するための構造把握が神話であるとした。フロイトの無意識の発見から淵源したとも言える深層心理学の理論は、歴史的に現れる現象とは別に、時間を超えて普遍的に存在する構造の存在を教える。カール・ユングは、このような普遍的・無時間的な構造の作用として元型の概念を提唱した。ケレーニイとの共著『神話学入門』においては、童子神の深層心理学的な分析が行われるが、コレーや永遠の少年としてのエロースは太母(地母神)としてのデーメーテールなどとの関係で出現する元型であり、「再生の神話」と呼ばれるものが、無意識の構造より起源する自我の成立基盤であり、自我の完全性への志向を補完する普遍的な動的機構であるとした[115]。ユングの深層心理学(分析心理学)や元型概念に強く影響されたのが宗教学者のミルチア・エリアーデであり、彼は歴史に対し否定的な態度からその理論を出発させる。エリアーデは前近代社会(古代社会)と近代社会を対比させ、後者は歴史的・世俗的な現実のありようを重視し、人間の立ち位置を社会の歴史的位置付けと相関させて把握するとした。他方、前者の古代社会は、歴史とは無縁な社会であり、寧ろ歴史を意図的に軽視する社会である。人間は近代社会の歴史性のなかにある限り、存在根拠が定かでなく、絶え間ない不安にある存在である。

比較神話研究からは、異なる神話(体系)に共通する神話類型やモチーフ(神話素)が明らかにされ、これらは民族学的な関係の有無や心理的基盤に関して議論されている。現代科学の描像における宇宙・生命の起源については、それぞれビッグバン・生命の起源などを参照のこと。"一般的に、「創造神話」(origin belief) といった場合、「『至高の存在』(例えば神)が、慎重に考えて『宇宙を創造した』」というような宗教的神話である「創世神話」(creation myth) と同一視される。しかしながら、「創造神話」は非宗教的主張や現代科学、哲学に基づく理論を含むように一般化されるであろう。また創造と言う場合、世界・宇宙に限らず人間などの創造も含む事にも留意する必要がある。"

エキドナは、上半身が女で下半身が蛇の怪物で、ゴルゴーンたちの姉妹とされるが出生には諸説がある。このエキドナとテューポーンのあいだに多数の子供が生まれる。獅子の頭部に山羊の胴、蛇の尾を持つキマイラ。ヘーラクレースに退治されたヒュドラー(水蛇)。冥府で番人を勤める、多頭で犬形のケルベロスなどである。またエジプト起源のスピンクスはギリシアでは女性の怪物となっているが、これもエキドナの子とされる。多くは、神であるか神に準ずる存在である。ポセイドーンとデーメーテールが馬の姿となって交わってもうけたのが、名馬アレイオーンである。他方、ポセイドーンはメドゥーサとのあいだに有翼の天馬ペーガソスや、クリューサーオール(「黄金の剣を持つ者」の意)をもうけた。セイレーンは『オデュッセイア』に登場する海の精霊・怪物であるが、人を魅惑する歌で滅びをもたらす。ムーサの娘であるともされるが、諸説あり、元々ペルセポネーに従う精霊だったとも想定される。『オデュッセアイア』に登場する怪物としては、六つの頭部を持つ女怪スキュラと渦巻きの擬人化とされるカリュブディスなどがある[62]。

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