アメリカとインカ

ウェーランド・スミス(鍛冶師のヴィーラント)とヴォルンドル、シグルズルとジークフリート、そしておそらくはベオウルフとボズヴァル・ビャルキなど、時折ゲルマンのどの世界で叙事詩が残存していたかにより、英雄も様々な表現形式で新たに脚色される。他にも、著名な英雄にはハグバルズル、スタルカズル、ラグナル・ロズブローク(粗毛ズボンのラグナル)、シグルズル金環王、イーヴァル広範王(イーヴァル・ヴィーズファズミ)、ハラルドル戦舌王(ハーラル・ヒルデタンド)などがいる。戦士に選ばれた女性、盾持つ処女も著名である。女性の役割はヒロインとして、そして英雄の旅に支障をきたすものとして表現されている。ゲルマンの民族が現代のような神殿を築くような事は、全く無かったかもしくは極めて稀なことであった。古代のゲルマンおよびスカンディナヴィアの人々により行われた礼拝の慣例ブロト(供儀)は、聖なる森で行われたとされるケルト人やバルト人のものと似通っている。礼拝は家の他にも、石を積み上げて作る簡素な祭壇ホルグで行われた。しかし、カウパング(シーリングサルとも)やライヤ(レイレとも)、ガムラ・ウプサラのように、より中心的な礼拝の地が少ないながら存在していたように見える。ブレーメンのアダムは、ウプサラにはトール・オーディン・フレイの3柱を模った木像が置かれる、神殿があったのではと主張している。聖職のようなものは存在していたと思われる一方で、ケルト社会における司祭ドルイドの位ほど、職業的で世襲によるものではなかった。これは、女性預言者及び巫女達が、シャーマニズム的伝統を維持していたためである。ゲルマンの王権は、聖職者の地位から発展したのだともよく言われている。この王の聖職的な役割は、王族の長であり生贄の儀式を執り行っていた、ゴジの全般的な役割と同列である。シャーマニズム的考え方を持っていた巫女達も存在してはいたが、宗教そのものはシャーマニズムの形態をとっていない。

"ウッコはフィンランド神話中の主神であり、天空・天気・農作物(収穫期)とその他の自然の事象を司る神でもある。現在のフィンランド語の「雷 (ukkonen)」がウッコの名前から派生したように、雷を司る事でも知られている。雷神としてのウッコは、彼のもつウコンバサラと呼ばれるハンマーから、稲光を発したという。"神話は主にキリスト教化以前に存在した現地の宗教、そして北欧神話の文書としての典拠が大多数集められていた地、アイスランドに定住していた人々を含む、スカンディナヴィア人の伝説と信仰で構成されている。北欧以外のゲルマン人は、早くからキリスト教化されたため、民族独自の神話や思想を示す書物がほとんど残っていない。そのため北欧神話は、年代の古い一般的なゲルマン・ペイガニズムが最良に保存された訳書であり、ゲルマン人の古来の習俗や精神を理解する上で貴重な資料となっている。このゲルマン・ペイガニズムは、アングロ・サクソン神話と極めて密接に関連した内容を含んでいる。ゲルマン神話は、初期のインド・ヨーロッパ神話から発展したものである。北欧神話は北ゲルマン民族によって共有されていた信仰や物語の集約である。神話は詩の形で口承により伝えられ、現在人々が持つ神話についての知識は主にスノッリ・ストゥルルソンにより書かれた『エッダ』や、キリスト教化中またはその後に書き下ろされた、中世における他の版本に基づいている。北欧神話は基本的に古ノルド語で著わされているが、『デンマーク人の事績』などラテン語で書かれたものもある。

『古エッダ』の『巫女の予言』は、北欧神話における、今存在する世界の創造の記述で始まる。最初は、北のニヴルヘイムの氷とムスペルヘイムの炎を除いて、何もなかった。それらの間に、大きく開いた淵があった(ギンヌンガガプ。しかしこの名称は時々、固有名詞として翻訳されないことがある)。この淵の中で氷のいくつかが炎からのいくつかの火の粉とぶつかった。氷は溶けて毒気(en:Eitr)となった。さらにそれは雌雄同体の巨人ユミルと、彼を乳で養うことになる雌牛アウズンブラの体を作り出した。アウズンブラは霜氷を舐めることで食餌した。次第に牛は氷の中に人間の頭髪を露わにしていった。翌日、牛は彼の顔を露わにした。さらに翌日、牛は彼、ブーリの姿を完全に露わにしていた。"ユミルは、男女2人の人間であるごとく、スルードゲルミルの父になった。ブーリは、ボルの父となった。ボルは3人の息子、ヴィリ、ヴェー、そしてオーディンを得た。彼らが巨人ユミルを殺した。ユミルの血が引き起こした大洪水により、両種族の最初の男女は死んでしまった。ベルゲルミルの父となったスルードゲルミルも溺死した。 ベルゲルミルは木の幹の空洞に隠れて生き延びた。"

世界の多くの地域に特有の民話・昔話が残されている。お伽話とも言う。説話を集めた作品のことを「説話集」と言う。一種のアンソロジーである。文学性の備わったものを「説話文学」と呼ぶ。民間に伝わる話を知識層が文章に記述することよって生まれた。民俗学・文学などの研究対象になる。日本文学では主に中古文学、中世文学の頃栄えた。『日本現報善悪霊異記(日本霊異記)』のように仏教説話の性格が強いものもあるが、特に12世紀には幅広い題材に取材した『今昔物語集』のような説話集も生まれた。また、芥川龍之介が『今昔物語集』を題材にして「羅生門」「芋粥」「鼻」などの小説を書くなど、近代以降の文学活動にも影響を与えた。日本の有名な昔話には例えば次のようなものがある。英語では「神話学」に当たる言葉としてMythologyとMythographyの二つがある。前者は神話体系(個別神話ではない)のことを指す場合が多い。後者は本来、このような神話体系を記述・編纂すること(記述神話学)を指すが、現代では神話学一般を指す用語ともなっている。

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