童話とメルヘンとポリネシア
"オギュゲス王の洪水は、テーバイの創設者であり王であるオギュゲスの在任中に起きたことから名づけられる。世界中を襲った洪水は非常に破壊的だったので、ケクロプスの支配までは国は王のないまま取り残された。 [2]"アポロドーロスの「ビブリオテーケー」でデウカリオンの洪水として語られる物語には、いくつかノアの洪水伝説に共通する点がある。プロメテウスは息子のデウカリオンに櫃を作るよう助言する。他の人間は、高い山に逃げた少数を除いてすべて滅ぼされる。テッサリアの山は砕け、コリントス地峡とペロポネソスより向こうの世界はすべて沈む。デウカリオンと妻のピュラは、9つの昼と夜を櫃で漂い、パルナッソス山にたどり着く。"ヘラニコスが語るさらに古い物語では、デウカリオンの「方舟」はテッサリアのオトリュス山にたどり着く。別の記述では彼は Argolis、のちのネメアのおそらく Phouka の頂上にたどり着く。雨が止んだとき、彼はゼウスに供物をささげる。それからゼウスの言いつけに従って石を自分の後ろに投げると、石から男が誕生し、ピュラが投げた石からは女が誕生した。アポロドーロスはここから、ギリシャ語の laos(人々)の語源は laas(石)にあるのだとしている。"
プロメーテウスの息子デウカリオーンは、エピメーテウスとパンドーラーのあいだの娘ピュラーを妻にするが、大洪水は、このときに起こったとされる[78]。洪水を生き延びたデウカリオーンは、多くの息子・娘の父親となる。ピュラーとのあいだに息子ヘレーンが生まれたが、彼は自分の名を取って、古代ギリシア人をヘレーン(複数形:ヘレーネス)と呼んだ[79]。デウカリオーンの息子・孫には、ドーロス、アイオロス、アカイオス、イオーンがいたとされ、それぞれが、ドーリス人、アイオリス人、アカイア人、イオーニア人の名祖となったとされるが[80]、これは歴史的な背景はないと思われる[81]。しかし、アイオロスの子孫には、ギリシア神話で活躍する有名な人物がある。子孫はテッサリアで活躍し、イオールコスに王都を建造した。ハルモースの家系には、ミニュアースとその裔でアルゴナウタイで著名なイアーソーン、また医神として後に知られるアスクレーピオスがいる。また孫娘のテューローからは、子孫としてネーレウス(ポントスの子のネーレウス神とは別)、その子でトロイア戦争の智将として知られるピュロス王ネストールがおり、ペリアース、アドメートス、メラムプース、またアルゴス王で「テーバイ攻めの七将」の総帥であるアドラストスなどがいる。ネーレウスはピュロスの王都を建造した。アイオロスの娘婿アエトリオスの子孫の人物としては、月の女神セレーネーとの恋で知られるエンデュミオーン、カリュドーン王オイネウス、その子のメレアグロス、テューデウス兄弟がいる。メレアグロスはホメーロスでも言及されていたが(『イーリアス』)、猪退治の話は後世になって潤色され、「カリュドーンの猪狩り」として、女勇者アタランテーも含めて多数の英雄が参加した出来事となった。またメレアグロスの姉妹デーイアネイラの夫はヘーラクレースであり、二人のあいだに生まれたヒュロスはスパルテー(ラケダイモーン)王朝の祖である[82]。
アマテラスの孫であるニニギが葦原中国平定を受けて日向に降臨した[19]。ニニギはコノハナノサクヤビメと結婚した。ニニギの子[20]である海幸彦・山幸彦は山幸彦が海幸彦の釣り針をなくしたことでけんかになった[6]。山幸彦は海神の宮殿に赴き、釣り針をみつけ、釣り針を返した。山幸彦は海神の娘と結婚しウガヤフキアエズという子をなした。ウガヤフキアエズの子がカムヤマトイワレヒコ(またはカンヤマトイワレヒコ。後の神武天皇)である[6][21]。カムヤマトイワレヒコは兄たちと謀ってヤマトを支配しようともくろむ。ヤマトの先住者たちは果敢に抵抗し、カムヤマトイワレヒコも苦戦するが、結局、天孫のカムヤマトイワレヒコの敵ではなかった。カムヤマトイワレヒコは畝傍橿原宮の山麓で即位する。これが初代天皇である神武天皇である[22][23]。
リビュアーは雌牛となったイーオーの孫娘に当たっている。リビュアーと海神ポセイドーンのあいだに生まれたのがフェニキア王アゲーノールで、テーバイ王家の祖であるカドモスと、クレーテー王家の祖とも言える娘エウローペーは彼の子である。カドモスは竜の歯から生まれた戦士でよく知られる。彼の孫がテーバイ王ペンテウスであり、ペンテウスはディオニューソス信仰を否定したため、狂乱する女たちに引き裂かれて死んだ。その女たちのなかには、彼の母アガウエーや伯母イーノーも含まれていたとされる。カドモスの娘にはセメレーがあり、彼女はゼウスの愛を受けてディオニューソスを生んだ。ペンテウスとディオニューソスは従兄弟同士となる。カドモスの別系統の孫にラブダコスがあり、彼はラーイオスの父で、ラーイオスの息子がオイディプースである。オイディプースには妻イオカステーのあいだに娘アンティゴネー等がいる。他方、カドモスの姉妹にエウローペーがあり、彼女はクレーテー王アステリオスの妻であるが、ゼウスが彼女を愛しミーノースが生まれる。ミーノースの幾人かの息子と娘のなかで、カトレウスは娘を通じてアガメムノーンの祖父に当たり、同様に、彼はパラメーデースの祖父である。カトレウスの孫には他にイードメネウスがいる。ミーノースの娘アリアドネーは、本来人間ではなく女神とも考えられるが、ディオニューソスの妻となってオイノピオーン等の子をもうけた。クレーテーの迷宮へと入って行ったテーセウスは、アテーナイ王アイゲウスの息子とも、ポセイドーンの息子ともされるが、ミーノースの娘パイドラーを妻とした。