創造神話の一覧と惑星二ビル接近説

オリュンポスの十二の神々は、ゼウスを例外として、息子や娘が少ないかいない場合がほとんどである。ポセイドーンは比較的に息子に恵まれているが、アンピトリーテーとのあいだに生まれた、むしろ海の一族とも言えるトリートーン、ペンテシキューメー、ヘーリオスの妻ロデーを除くと、怪物や馬や乱暴な人間が多い[46]。"アレースは妻である美の女神アプロディーテーとのあいだに、デイモス(恐慌)とポボス(敗走)の兄弟がある。またヘーシオドスが、原初の神として最初に生まれたとしている愛神エロースはアプロディーテーとアレースの息子であるとされる[47]。この説はシモーニデースが最初に述べたとされる[48]。しかしエロースをめぐっては誰の息子であるのか諸説があり、エイレイテュイアの子であるとも、西風ゼピュロスとエーオースの子であるとも、ヘルメースの子、あるいはゼウスの子であるともされる[49] [50]。エロースと対になる愛神アンテロースもアレースとアプロディーテーの子だとされる。"他のオリュンポスの有力な神々、ハーデース、ヘルメース、ディオニューソス、ヘーパイストスには目立った子がいない(少なくとも伝承では伝わっていない)。アポローンは知性に充ちる美青年の像で考えられていたので、恋愛譚が多数あり、恋人の数も多いが、神となった子はいない。彼の子ともされるオルペウスやアスクレーピオスが、例外的に死後に神となったとも言える[51]。

最初は、北のニヴルヘイムの氷とムスペルヘイムの炎を除いて、何もなかった。それらの間に、大きく開いた淵があった(ギンヌンガガプ。しかしこの名称は時々、固有名詞として翻訳されないことがある)。この淵の中で氷のいくつかが炎からのいくつかの火の粉とぶつかった。氷は溶けて毒気(en:Eitr)となった。さらにそれは雌雄同体の巨人ユミルと、彼を乳で養うことになる雌牛アウズンブラの体を作り出した。アウズンブラは霜氷を舐めることで食餌した。次第に牛は氷の中に人間の頭髪を露わにしていった。翌日、牛は彼の顔を露わにした。さらに翌日、牛は彼、ブーリの姿を完全に露わにしていた。"ユミルは、男女2人の人間であるごとく、スルードゲルミルの父になった。ブーリは、ボルの父となった。ボルは3人の息子、ヴィリ、ヴェー、そしてオーディンを得た。彼らが巨人ユミルを殺した。ユミルの血が引き起こした大洪水により、両種族の最初の男女は死んでしまった。ベルゲルミルの父となったスルードゲルミルも溺死した。 ベルゲルミルは木の幹の空洞に隠れて生き延びた。"オーディンと兄弟たちは、宇宙を作り出すためにユミルの体を使った。彼の体を挽いて土壌とした。彼の肉に現れた蛆が、地下に住む小人となった。ユミルの骨が山となった。オーディンは雲を作り出すために彼の脳を空にまき散らした。宇宙は9つの世界から成り立っている。その中でもこの大地(マンハイム)が中心にあった。オーディンらはユミルの頭蓋を持ち上げる4人の小人、ノルズリ(北)、スズリ(南)、アウストリ(東)とヴェストリ(西)を置き、天を構築した。それからムスペルヘイムから飛来する火の粉を使って、太陽と月、星を作り出した。

聖職のようなものは存在していたと思われる一方で、ケルト社会における司祭ドルイドの位ほど、職業的で世襲によるものではなかった。これは、女性預言者及び巫女達が、シャーマニズム的伝統を維持していたためである。ゲルマンの王権は、聖職者の地位から発展したのだともよく言われている。この王の聖職的な役割は、王族の長であり生贄の儀式を執り行っていた、ゴジの全般的な役割と同列である。シャーマニズム的考え方を持っていた巫女達も存在してはいたが、宗教そのものはシャーマニズムの形態をとっていない。ゲルマンの人間の生贄を見た唯一の目撃者の記述は、奴隷の少女が埋葬される君主と共に自ら命を差し出したという、ルス人の船葬について書かれたイブン・ファドーランの記録の中に残っている。他にも遠まわしではあるが、タキトゥスやサクソ・グラマティクス、そしてブレーメンのアダムの記述に残っている。しかし、イブン・ファドラーンの記述は実際には埋葬の儀式である。現在理解されている北欧神話では、奴隷の少女には「生贄」という隠された目的があったのではという理解がなされた。北欧神話において、死体焼却用の薪の上に置かれた男性の遺体に女性が加わって共に焼かれれば、来世でその男性の妻になれるであろうという考え方があったとも信じられている。奴隷の少女にとって、たとえ来世であっても君主の妻になるということは、明らかな地位の上昇であった。

神話は主にキリスト教化以前に存在した現地の宗教、そして北欧神話の文書としての典拠が大多数集められていた地、アイスランドに定住していた人々を含む、スカンディナヴィア人の伝説と信仰で構成されている。北欧以外のゲルマン人は、早くからキリスト教化されたため、民族独自の神話や思想を示す書物がほとんど残っていない。そのため北欧神話は、年代の古い一般的なゲルマン・ペイガニズムが最良に保存された訳書であり、ゲルマン人の古来の習俗や精神を理解する上で貴重な資料となっている。このゲルマン・ペイガニズムは、アングロ・サクソン神話と極めて密接に関連した内容を含んでいる。ゲルマン神話は、初期のインド・ヨーロッパ神話から発展したものである。北欧神話は北ゲルマン民族によって共有されていた信仰や物語の集約である。神話は詩の形で口承により伝えられ、現在人々が持つ神話についての知識は主にスノッリ・ストゥルルソンにより書かれた『エッダ』や、キリスト教化中またはその後に書き下ろされた、中世における他の版本に基づいている。北欧神話は基本的に古ノルド語で著わされているが、『デンマーク人の事績』などラテン語で書かれたものもある。北欧神話の中にはスカンディナヴィアの伝承の一部となったものもあり、現在まで残存してきた。その他は近年、ゲルマン・ネオペイガニズムとして再考案・構築されている。ステージでの上演劇や映画に同じく、神話は現在も様々な文学での着想として残されている。

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