説話文学とアッカド (アトラハシス叙事詩)

"音楽の分野でも、ギリシア神話を題材やモチーフとしたものは多数に昇る。グルックには、『パリスとヘレナ』、『オーリードのイフィジェニー』があり、ベルリオーズは『トロイアの人々』を作曲している。モーツァルトには、アイネイアースの子を主題とした 『アルバのアスカーニオ』があり、また『イドメネオ』がある。リヒャルト・シュトラウスは 『エレクトラ』を作曲している。オペラ作品として、グルックには、オウィディウスの作品を原作とした『エコーとナルシス』があり、リヒャルト・シュトラウスは、エウリーピデースの悲劇を元にした『エジプトのヘレナ』、『ナクソス島のアリアドネ』、『ダフネ』がある。カール・オルフは『アンティゴネー』を作曲している。"ギリシア神話の英雄あるいは出来事を映画化した作品は欧米において非常に多数に昇る。トロイア戦争を主題にした映画作品は数多く制作されており、ヘーラクレースを主人公とする作品もまた多くある。アルゴナウタイ、テーセウス(主にクレータの迷宮を舞台として)の物語、テーバイ攻めの七将などの話が映画化されている。ギリシア悲劇も映画となっているものが多い。日本においては、ギリシア神話は、アポロドーロスの『ギリシア神話』のまえがきで訳者の高津春繁が記しているように、オウィディウスの『変身物語』から取られた話が主に紹介されて来た[132]。欧米では、ラテン語を文化系の学生が学ぶことは珍しいことではなく、法学などでは必修である場合もあり、古典ギリシア語やコイネーについても、キリスト教『新約聖書』がこの言語で記されているため、学ぶ人の数が圧倒的に多い。

プゥイール(Pwyll)、ウェールズ南西にある、ダベッドの君主でウェールズの英雄とも言える存在。知恵という意味の名を持つ。アンヌン(地下にある妖精の国)の王であるアラウンを助けてアラウンの宿敵ハフガンを討つ。後にリーアノンと出会い結婚する。彼女との間にプリュデリという子供がいる。リーアノン(リヒアンノン、フリアンノン、Rhiannon)、月と馬の女神で偉大なる女王という意味の名を持つ。金髪で美しい女性、忠実な白い雌馬に乗り死者の魂を地球から死後の世界へと導く。プゥイールの妻となり彼が死ぬまで幸せに暮らす。その後マナウィダンと結婚する。"マナウィダン(Manawydan)海神フリール(Llyr)の息子。マナナーン・マクリール(Manannan mac Lir)とも呼ばれる魔術師。"

"レーク石碑(Rök Runestone)やクヴィネビ・アミュレット(Kvinneby amulet)のように、表面に刻まれているごく少数のルーン文字の碑文にも、神話への言及がなされている。トールの魚釣りの旅や『ヴォルスンガ・サガ』からの場面、オーディンとスレイプニルやフェンリルに飲み込まれるオーディンなど、北欧神話からの場面を描いたルーン文字石碑やイメージ・ストーンもある。現存するフンネシュタット石碑(Hunnestad Monument)の1つには、狼に跨ってバルドルの葬式へ行くヒュロッキンが描かれている[2]。"デンマークでは、巻いた口髭が生え、口を閉じられているロキの絵が描かれたイメージ・ストーンがあるほか、複雑に入り組んだ絵が描かれたイギリスのゴスフォース十字架石碑もある。更に、隻眼のオーディンやハンマーを持つトール、直立した男根のフレイなど、神々を描いた小立像も存在する。司教などもゲルマン人の信仰に関する記述を残している。サクソ・グラマティクスは『デンマーク人の事績』の中でスカンディナヴィアの神々について触れ、ブレーメンのアダムは『ハンブルク教会史』を著した。またこれら北欧で著されたものの他に、1世紀ごろのローマの歴史家タキトゥスが著した『ゲルマーニア』や、イブン・ファドーランの『ヴォルガ・ブルガール旅行記』などにも、ゲルマン人の信仰に関する記述が残されていた。

第二の「神々の物語」は、世界の起源の神話と、その前半において密接な関連を持ち、後半では、英雄たちの物語と絡み合っている。英雄たちの物語で、人間の運命の背後にあって神々の様々な思惑があり、活動が行われ、それが英雄たちの物語にギリシア的な奥行きと躍動を与えている。第三の「英雄たちの物語」は、分量的にはもっとも大きく、いわゆるギリシア神話として知られる物語や逸話は、大部分がこのカテゴリーに入る。この第三のカテゴリーが膨大な分量を持ち、夥しい登場人物から成るのは、日本における神話の系統的記述ともある意味で言える『古事記』や、それに並行しつつ歴史時代にまで記録が続く『日本書紀』がそうであるように、古代ギリシアの歴史時代における王族や豪族、名家と呼ばれる人々が、自分たちの家系に権威を与えるため、神々や、その子である「半神」としての英雄や、古代の伝説的英雄を祖先として系図作成を試みたからだとも言える[21]。神話的英雄や伝説的な王などは、膨大な数の子孫を持っていることがあり、樹木の枝状に子孫の数が増えて行く例は珍しいことではない。末端の子孫となると、ほとんど具体的エピソードがなく、単なる名前の羅列になっていることも少なくない[22]。

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