参照項目とアジア
これらのティーターンの十二の神としては、通常、次の神々が挙げられる。まず主神たる1)クロノス、その妻である2)レアー女神、長子3)オーケアノス、4)コイオス、5)ヒュペリーオーン、6)クレイオス、7)イーアペトス、8)テーテュース女神、9)テミス女神(法)、10)ムネーモシュネー女神(記憶)、11)ポイベー女神、12)テイアー女神である[36]。アポロドーロスはディオーネー女神をクロノスの姉妹に挙げているが、この名はゼウスの女性形であり、女神の性格には諸説がある。ティーターンはこれ以外にも、子孫が多数存在した。後にティーターンはオリュンポス神族に敗れ、タルタロスに落とされるが、全員が罰を受けた訳ではない。広義のティーターンの一族には、イーアペトスの子であるアトラース、プロメーテウス、エピメーテウスや、ヒュペリーオーンの子であるエーオース(暁)、セレーネー(月)、ヘーリオス(太陽)などがいた[37]。神々の王クロノスはしかし、母ガイアと父ウーラノスから呪いの予言を受ける。クロノス自身も、やがて王権をその息子に簒奪されるだろうというもので、クロノスはこれを懼れて、レアーとのあいだに生まれてくる子供をすべて飲み込む。レアーはこれに怒り、末子ゼウスを身籠もったとき、密かにゼウスを出産し、石を襁褓にくるんでこれをクロノスに渡した[38]。
無論、それは地域ごとで食い違いや差異があり、伝承の系譜ごとで様々なものが未だ渾然として混ざり合っていた状態であるが、しかし、オリュンポスを支配する神々が誰であるのか、代表的な神々の相互関係はどのようなものであるのか、また世界や人間の始源に関し、どのような物語が語られていたのか、それらは、ヘレネスにおいてほぼ共通した了解のある、或るシステムとなって確立したのである。しかし、個々の神や英雄は具体的にどのようなことを為し、古代ヘレネスの国々にどのような事件が起こり、それはどういう神々や人々・英雄と関連して、どのように展開し、どのような結果となったのか。これらの詳細や細部の説明・描写などは、後世の詩人や物語作者などの想像力が、その詳細を明らかにし、ギリシア神話の壮麗な物語の殿堂を飾ると共に、陰翳に満ちた複雑で精妙な形姿を構成したのだと言える[10]。ギリシア悲劇の作者たちが、ギリシア神話に奥行きを与えると共に、人間的な深みをもたらし、神話をより体系的に、かつ強固な輪郭を持つ世界として築き上げて行った。ヘレニズム期においては、アレクサンドレイア図書館の司書で詩人でもあったカルリマコス[11]が膨大な記録を編集して神話を敷衍し、また同じく同図書館の司書であったロードスのアポローニオスなどが新しい構想で神話物語を描いた。ローマ帝政期に入って後も、ギリシア神話に対する創造的創作は継続して行き、紀元1世紀の詩人オウィディウス・ナーソの『変身物語』が新しい物語を生み出しあるいは再構成し、パウサーニアースの歴史的地理的記録やアプレイウスの作品などがギリシア神話に更に詳細を加えていった。
太古に地球を支配していたが現在は地上から姿を消している、強大な力を持つ恐るべき異形のものども(旧支配者)が現代に蘇るというモチーフを主体とする。中でも、旧支配者の一柱であり、彼らの司祭役を務めているともされる、太平洋の底で眠っているという、タコやイカに似た頭部を持つ軟体動物を巨人にしたようなクトゥルフは有名である。"なお、ラヴクラフトは自身の作品群や世界観を指して「クトゥルフ神話」という呼称を用いたことはなく、「クトゥルフ神話」はダーレスが独自の見解を加え体系化した後の呼称ともされる。そのため、ダーレスによる見解を含む場合を「クトゥルフ神話」や「ダーレス神話(Derleth Mythos)」と呼び、ラヴクラフトのみによる作品群やその世界観を指す場合を「原神話」や「ラヴクラフト神話(Lovecraft Mythos)」と呼ぶことで区別することもある。特にダーレスによって持ち込まれた善悪二元論による「旧神」「旧支配者」という体系に否定的な立場の読者はこの両者を明確に区別している。"クトゥルフ神話は多数かつ多様な作品によって構成されており、その源泉を単純に述べることは困難だが、創始者とされるラヴクラフトのホラー小説においては宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)という概念がテーマとして挙げられる。これは無機質で広漠な宇宙においては人類の価値観や希望などは何の価値もなく、人はただ盲目的な運命に翻弄されるのみであるという不安と恐怖をホラー小説の形式で描いたものであり、理性を超えた狂気と混沌、吸血鬼や幽霊など伝統や文化にもとづいた恐怖を排除する傾向、宇宙空間や他次元などの現代的な外世界を取り上げるなどの要素がある。しかし、ヒロイック・ファンタジーの文脈を取り入れたロバート・E・ハワード、善悪二元論的な作品を描いたオーガスト・ダーレスやブライアン・ラムレイを始めとしてコズミック・ホラー以外のテーマを持つ作品も多く存在する。
台湾原住民のタイヤル族、サイシャット族、ツォウ族、ブヌン族、ルカイ族、パイワン族、アミ族、パゼッヘ族などの神話では、異なる洪水伝説が記録されている。"ヒンドゥー教の聖典(プラーナ、特にマツヤ・プラーナと、シャタパタ・ブラーフマナ I、 8、 1-6)によれば、ヴィシュヌ神のアヴァターラとして魚の姿のマツヤがマヌに、大洪水が来てすべての生物を流し去ってしまうだろうと警告した。 マヌは魚の世話をして、結局魚を海に放した。 そこで魚はマヌに船を作るように警告する。彼が船を作ると、洪水が起こり、魚は自分の骨につけたケーブルで船を安全に牽引した。"バタクの伝承では、地球は巨大なヘビのナーガ・パドハ(Naga-Padoha)の上にあった。ある日、ヘビはその負担に耐えかねて、地球を海に振り落とした。しかしバタラ(Batara)神が海に山を送り出したおかげで神の娘は救われた。人類は生き延びた神の娘を祖先としている。のちに地球はヘビの頭上に戻された。