説話の種類と始まり
多くの創世神話は、広い範囲で同じテーマを持っていることが多い。一般的なモチーフとしては以下のようなものがある。日本神話においても、始原の神々とともに天地の創生が語られており、イザナギとイザナミという二柱の兄妹神が結婚し、主な島々や神々たちを生みもうけたという。イスラム教では、すべてのものはアッラーフ(アラビア語で「神」、イスラム教では神は唯一で絶対である。)によって創造されたとされる。クルアーンには、アッラーフが創造主であることを示す記述がいくつもある。
(参照:『山海経』第18章、最後から2番目の段落、Anne Birrells 翻訳)[5]"古代中国文学には、洪水神話の起源が多くある。幾つかは世界的な大洪水に言及しているように見える:"『書経』(中国最古の歴史書)は紀元前700年かそれ以前に書かれたものだが、冒頭の章で、堯が天に届くような洪水の問題に直面していたと述べている。 これは、治水に成功して有名な禹の影響が背後にある。 彼は続いて、中国の最初の王朝を創設した。
ギリシアの英雄は半神とも称されるが、多くが神と人間のあいだに生まれた息子で、半分は死すべき人、半分は不死なる神の血を引く。このような英雄は、「力ある死者」のなかでも神に近い崇拝を受けていた者たちで、ヘーラクレースの場合は、英雄の域を超えて神として崇拝された。英雄は、都市の創立者として子孫を守護し、またときに、敵対する者の子孫に末代まで続く呪いをかけた[73]。死して勲を残す英雄は、守護と呪いの形で、その死後に強い力を発揮した者でもある[74]。英雄は古代ギリシアの名家の始祖であり、祭儀や都市の創立者であり名祖であるが、その多くはゼウスの息子である。ゼウスはニュンペーや人間の娘と交わり、数多くの英雄の父となった。数々の冒険と武勇譚で知られ、数知れぬ子孫を残したとされるヘーラクレースはゼウスと人間エーレクトリュオーンの娘アルクメーネーのあいだに生まれた。ゼウスは彼女の夫アンピトリュオーンに化けて、更にヘーリオスに命じて太陽を三日間昇らせず彼女と交わって英雄をもうける。また白鳥の姿になってレーダーと交わり、ヘレネー及びディオスクーロイの兄弟をもうけた。アルゴス王アクリシオスの娘ダナエーの元へは黄金の雨に変身して近寄りペルセウスをもうけた。テュロス王アゲーノールの娘エウローペーの許へは、白い牡牛となって近寄り、彼女を背に乗せるとクレーテー島まで泳ぎわたった。そこで彼女と交わってミーノースを、またラダマンテュス等をもうける。
文献神話の大部分は建国神話である。口伝神話の大部分はシャーマンの歌(巫歌)である。檀君はあくまでも神話上の存在であり、実在しなかったとされている。檀君王倹という名についても、平壌の古名として「王険」「王険城」が『史記』朝鮮列伝に出てくるのが初出で、元々は地名であったことがわかる。12世紀に成立した高麗の正史『三国史記』高句麗本紀第五東川王の条には平壌にかつて住んでいた仙人の名前として王倹という人名が出てくるが、檀君という王がいたことは全く書かれていない。これらの傍証からも、檀君神話は朝鮮の古来からの独立を示すための伝説的神話だろうと推測されており、国家としての檀君朝鮮の実在性も低いとされている。